mismith
冬の漁港を見たいと思い、西津軽の北金ヶ沢を訪れました。
連日の大雪が嘘のように、この日は冬らしい澄み切った快晴。
足の向くままに歩いていると、小さな神社が目に留まりました。
境内には深々と雪が積もり、人が通った気配はありません。躊躇しつつもお参りをすることにしました。
本殿は閉まっていたので、手を合わせるだけの簡単な参拝です。
鳥居をくぐり外に出た瞬間、背後で神社の屋根から先ほど手を合わせていた場所に雪が大量に落ち、風が吹き抜けました。
その場所を離れるまで守ってくれたようにも、何か無礼なことで怒られているようにも感じ取れ、不思議な体験でした。
その後少し歩いたところで、雪を滑り台にして遊ぶ一家と出会いました。
旅先で写真を撮っている話をすると、ご主人に「ぜひ見て欲しいものがある」と言われ、連れて行かれたのはなんと先ほどの神社。
閉まっていた本殿を開けてもらうと、そこには江戸時代の船絵馬が飾られていました。
この辺りは江戸時代に関西や北海道を結ぶ海運の要所となっていたそうで、安全な航海と豊漁を祈願して船絵馬が描かれました。
力強く、そして誇らしく描かれた船の姿。その絵馬からは、当時の人々の願いが今もなお静かに語りかけてくるようです。
実は本殿は自由に見学してもいい場所だそうですが、そのことに気づかずにいた私を、神様が本殿へと導いてくれたのでしょう。
そして、屋根から大量に雪が落ちたのは、「ここにはまだ見せたいものがあるのだ」と振り向かせたかったのかもしれません。